日本大百科全書(ニッポニカ) 「龐統」の意味・わかりやすい解説
龐統
ほうとう
（178―213）
中国、後漢(ごかん)末、劉備(りゅうび)の幕僚。字(あざな)は士元(しげん)。襄陽(じょうよう)郡（湖北(こほく)省襄樊(じょうはん)市）の人。「臥龍(がりょう)」とよばれた諸葛亮(しょかつりょう)（孔明(こうめい)）と並び、「鳳雛(ほうすう)」と称された。荊州(けいしゅう)を支配した劉備に仕えたが、県令に任命されただけであった。一時、南郡太守(なんぐんたいしゅ)の周瑜(しゅうゆ)に仕えていたことを嫌われたためであろう。諸葛亮は、劉備に重用を薦め、魯肅(ろしゅく)もまた、「龐統は百里(ひゃくり)（県令のこと）の才ではありません」と手紙を書いて龐統を薦めている。このため劉備は、龐統を諸葛亮と同じ軍師中郎将(ぐんしちゅうろうしょう)に任命、益州(えきしゅう)侵攻の軍師として同行させた。益州を支配していた劉璋(りゅうしょう)との初対面の席で、龐統は劉璋の暗殺を献策するが、劉備は従わなかった。劉璋の依頼を受け張魯(ちょうろ)を討伐するため、援軍を要請した劉備に、劉璋が老兵だけを送ると、「すぐに成都(せいと)へ攻め込む、涪水関(ふうすいかん)をとる、荊州に戻る」の三策を献ずる。劉備は第二策を採用して、涪水関を守る楊懐(ようかい)・高沛(こうはい)を討ち取った。しかし、龐統は益州の平定を見ることなく、雒城(らくじょう)攻撃中に戦死した。
［渡邉義浩］
『渡邉義浩著『「三国志」軍師34選』（PHP文庫）』
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