改訂新版 世界大百科事典 「鼻疽」の意味・わかりやすい解説
鼻疽 (びそ)
glanders
馬鼻疽ともいう。ウマ,ロバ,ラバなどの鼻腔,気管支粘膜,肺,脾,肝,リンパ節,皮膚に結節や膿瘍(のうよう),潰瘍を形成する接触性の伝染病。ヨーロッパ,ソ連,中近東,アジア,南アメリカでかつて流行したが,現在ではアジア,アフリカ,南アメリカで一部に発生がみられる。原因菌はPseudomonas malleiで,ラクダ,ライオン,トラ,イヌ,ヒトにも感染する。鼻腔内への病変のみられることが多いことから鼻疽と呼ばれるが,肺に見られる肺鼻疽,皮膚に起これば皮疽と呼ばれる三つの型がある。潜伏期は3~7日で高熱を伴い,鼻腔や気道粘膜,肺,皮膚などにびらん性潰瘍が形成される。常在地では慢性型のものが多く,両側または片側の鼻孔から灰黄色の膿性鼻汁を垂らし,鼻腔粘膜にびらん性の潰瘍が認められる。診断はマレイン反応としてマレインの点眼が行われている。ツベルクリン反応と同じような方法で作られるマレインを,眼結膜囊へ1~2滴滴下して,充血,浮腫,目やにの有無で判定する。
執筆者:本好 茂一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報