鵜飼船(読み)うかいぶね

精選版 日本国語大辞典 「鵜飼船」の意味・読み・例文・類語

うかい‐ぶね うかひ‥【鵜飼船】

〘名〙
鵜飼に使う船。中世までは丸木船だったが、近世以降は船首上部を箱形につき出した特異な板船となった。鵜船(うぶね)。《季・夏》
※久安百首(1153)夏「早瀬川みをさかのぼるうがひ舟まづこの世にもいかが苦しき〈崇徳院〉」
② 高瀬船系の川船の一種各地にあるが、船型は所により異なる。美濃白石、伊勢桑名間を往復した貨客用のものは、長さ一三メートルほどの一枚枻(だな)の細長い船で、船首尾が鵜船に似た箱造りなのが特徴。阿武隈川、鬼怒川筋のものは船首尾の形状が異なり、普通のべか船に近い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鵜飼船」の意味・わかりやすい解説

鵜飼船
うかいぶね

(1) 鵜飼いに使う小型漁船。中世までは丸木船を用いたが,近世以降では平底の板船となり,今日の長良川の鵜飼船のような船首上部に箱型の突出部を設ける独特の船型になった。 (2) 近世の河川水運で使われた高瀬船系の川船。船首形状が鵜飼船に似ているための呼称で,鵜飼いとはまったく無関係である。各地の河川にあったが,その船型,構造には就航河川によって多少の相違があり,小型のものは小鵜飼船と呼んだ。

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