高周波加熱(読み)コウシュウハカネツ(英語表記)high-frequency heating

デジタル大辞泉 「高周波加熱」の意味・読み・例文・類語

こうしゅうは‐かねつ〔カウシウハ‐〕【高周波加熱】

高周波電磁場を与えて加熱すること。高周波の電磁場による発熱現象を利用するもの。鋼材の表面焼き入れ食品の加熱・殺菌などに使用

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精選版 日本国語大辞典 「高周波加熱」の意味・読み・例文・類語

こうしゅうは‐かねつ カウシウハ‥【高周波加熱】

〘名〙 高周波の電磁界によって、物体が発熱する現象を利用した加熱方法をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「高周波加熱」の意味・わかりやすい解説

高周波加熱 (こうしゅうはかねつ)
high-frequency heating

電気加熱において採用される加熱源となる電源の周波数が商用周波より高い場合,広義に高周波加熱という。具体的には使用目的に応じて種々の周波数が利用される。日本では一般的に,導電体を加熱する誘導加熱では数百Hz~数百kHz帯の特定周波,電気の不良導体を加熱する誘電加熱ではおおよそ1~数百MHz帯の特定の各種周波および2450MHzが使用されている。装置は,電力発振機器,被熱物をいれるるつぼ,炉ないしコイル(誘導加熱),または電極板(誘電加熱)などによって構成される。10MHz程度以上の周波数帯域前述よりさらに高い周波数も含む)の特定の利用周波は,とくにISM(industry,science,medicineの頭文字をとったもの)周波帯といわれ,これらの目的に利用周波数が割り当てられている。しかし発振周波数が定格周波の近傍で動揺したり,また定格周波の高調波分があわせて発振,外界に放射されると,無線通信で使用する電波の周波数と一致し,通信妨害を与える可能性がある。このため,国際的にもまた国内法的にも,周波数の許容変動幅および外界への漏れ電波放射に関しきびしい規制措置が採られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高周波加熱」の意味・わかりやすい解説

高周波加熱
こうしゅうはかねつ

比較的高い周波数の電磁界を利用した加熱方法。ラジオヒーターともよぶ。被加熱材料が誘電体であるか、導体であるかによって、誘電加熱と誘導加熱とに分かれる。使用される周波数は、前者は数メガ~数千メガヘルツまで、後者は数メガヘルツ程度までである。

 誘電加熱は誘電損失の発熱を利用するもので、電子レンジ高周波ミシンをはじめ、木材の乾燥や接着、さらにビニル、繊維製品、ゴム製品などの加工のほか、菓子類の防黴(ぼうかび)、米菓の膨化、乾燥食品の製造、冷凍肉の解凍などに用いられる。誘導加熱は、電磁誘導によって生ずる二次電流のジュール熱を利用するもので、数キロ~1メガヘルツの周波数は鋼表面の焼入れ、鉄の溶解などに用いられ、1メガヘルツ以上の周波数は真空中の微量金属の加熱・溶解などに用いられる。

[岩田倫典]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高周波加熱」の意味・わかりやすい解説

高周波加熱
こうしゅうはかねつ
high-frequency heating; radio heating

強い高周波電磁場に物体を置いて加熱することで,電気エネルギーから熱エネルギーへ変換する電熱の方式。誘電体の誘電損失による発熱を利用した誘電加熱と,コイル中に金属を入れて電磁誘導により渦電流を発生させ,そのジュール熱を利用する誘導加熱がある。誘電加熱は加熱しにくい絶縁体を内部から均一に加熱できるため,マイクロ波加熱として電子レンジ,高周波誘電加熱として高周波ミシン,木材の接着乾燥,医療用などに用いられている。電波法では通信以外のこのような高周波電磁波を ISM周波数と呼び特別に規定している。一方の誘導加熱は表皮効果を利用して表面の加熱を行う高周波焼入れやるつぼ型溶解炉などに利用される。

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百科事典マイペディア 「高周波加熱」の意味・わかりやすい解説

高周波加熱【こうしゅうはかねつ】

高周波電磁場中に置かれた物体が発熱する現象を利用する加熱方式。木材やプラスチックのような絶縁物を加熱する誘電加熱と,金属のような導電性物体を加熱する誘導加熱とに分かれる。→電子レンジ

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