馬印・馬標(読み)うまじるし

精選版 日本国語大辞典 「馬印・馬標」の意味・読み・例文・類語

うま‐じるし【馬印・馬標】

〘名〙 軍陣の用具の一つ。主将の馬側にたてて、その所在を明示する標識。集団歩兵戦争の激化とともに発達したもので、棹の先頭に出(だし)と呼ぶ笠や扇、輪貫(わぬき)などの作りものを設けたが、江戸時代になると馬簾(ばれん)を加えるのが普通となり、纏(まとい)ともいう。羽柴秀吉の金のひょうたん、徳川家康の開き扇などが著名。馬幟(うまのぼり)
甲陽軍鑑(17C初)品四三「武者奉行旗奉行、一切、自身の働(はたらき)大きなるけがなり。〈略〉惣旗(そうはた)、馬じるしと分て両奉行なり」
[語誌]挙例の「甲陽軍鑑」から知られるように、馬印は総旗とともに一軍の象徴であり、常に大将につき従って行動する存在だった。従って、これらを支える奉行には、年功を積んだ側近が選ばれ、大将と生死をともにするものとされていた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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