食倒(読み)くいたおす

精選版 日本国語大辞典 「食倒」の意味・読み・例文・類語

くい‐たお・す くひたふす【食倒】

〘他サ五(四)〙
① かみついたりして引き倒す。
浄瑠璃・箱根山合戦(1660)四「犬はとらのしたはらを、したたかにかみひしぎ、前にかっぱとくいたをす」
飲み食いなどしてその代金を支払わないですましたり、また、他に大きな打撃をあたえたりする。
※落語・果報の遊客(1893)〈三代目三遊亭円遊〉「女郎其処(それ)へゾロゾロ押込んで来ましたが、是(これ)は喰ひ倒(タフ)さうと思って来たんでげして」
③ 働かないで財産などをなくしてしまう。食いつぶす。

くい‐だおれ くひだふれ【食倒】

〘名〙
飲食に贅沢(ぜいたく)して貧困になること。「京の着倒れ大阪の食い倒れ」
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第二一「分散事は喰倒(クイタフ)れ也 しなてるや片岡山に影かくす」
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「世界各国の諺に仏蘭西の着倒れ、英吉利の食(クヒ)だふれと」
② 働かないで遊び暮らすこと。食いつぶし。徒食

くらい‐だおれ くらひだふれ【食倒】

〘名〙
仕事をしないで遊び暮らす者。また、その結果財産を食いつぶしてしまった者をののしっていう語。くいだおれ。
狂言記・貰聟(1660)「内のくらいたをれが、いひ事をしたによって、もとりました」
② 泥酔した人。また、たらふく食った人をののしっていう語。
浮世草子・沖津白波(1702)一「酔倒高齁して寝入ける。〈略〉伏したる腹の上に頼光飛乗て、いかにやいかにや喰低(クラヒダヲレ)

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