デジタル大辞泉
「願以此功徳」の意味・読み・例文・類語
がん‐い‐し‐くどく〔グワン‐〕【願以×此功徳】
[連語]《「願わくはこの経文の功徳をもって」の意》
1 代表的な回向文の一句。自分の修めた功徳をすべての人に施して、ともに成仏したいと願うもの。がんにしくどく。
2 《読経の最後に1を唱えるところから》物事の終わり。結末。転じて、しまった、の意にも用いる。がんにしくどく。
「はや暮れておどろき、―、空袋かたげて都に帰るを見て」〈浮・永代蔵・四〉
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がん‐い‐し‐くどく グヮン‥【願以此功徳】
〘
連語〙 (「願わくはこの経文の功徳をもって」の意)
① 仏語。いわゆる
回向文(えこうもん)で最も代表的なもの。自己の修めた功徳をすべての
衆生に施して、ともに仏道をまっとうしたいと願う
趣意を語る。二種あり、一は「
法華経‐化成喩品」にある
梵天王の願文「願以
二此功徳
一、普及
二於一切
一、我等与
二衆生
一、皆共成
二仏道
一」、一は、中国唐代、
善導の「観経四帖疏‐玄義分」にある「願以
二此功徳
一、平等施
二一切
一同発
二菩提心
一、往
二生安楽国
一」。
後世、これを回向文として、
法会(ほうえ)の終わりに唱えるようになった。
※義経記(室町中か)六「念仏高声(こうしゃう)に三十遍ばかり申して、ぐゎんいしくどくと廻向(ゑかう)して」
② (読経の最後に唱える回向文であるところから) 物事の終わり。結末。転じて、しまったの意にも用いられる。南無三宝(なむさんぼう)。
※
浮世草子・
日本永代蔵(1688)三「実
(げに)秋の日のならひにてはや暮ておどろき、願以此功徳
(グハンイシクドク)、空袋かたげて都に帰るを見て」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報