静電高圧発生器(読み)せいでんこうあつはっせいき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「静電高圧発生器」の意味・わかりやすい解説

静電高圧発生器
せいでんこうあつはっせいき

静電的に高電圧を発生させる装置。このような装置としていろいろな方式のものが考えられ、たとえばケルビンは落下する水滴に電荷を運ばせる型の装置を考えたが、静電高圧発生器といえば普通はバン・ド・グラーフ起電機をさす。電気容量CコンデンサーQの電気量を蓄えると、V=Q/C電位差がその電極間に発生する。バン・ド・グラーフの装置では、アースに対して電気容量Cをもつ電極とアースの間に絶縁ベルトをかけ、アース電位に置かれた直流電源によって絶縁ベルトに電荷を帯電させ、ベルトを回転させてその電荷を電極に運び、電極の電位を高めていく。単位時間当りqの電荷をベルトにのせればt時間後にはV=(q/Ctの電位差が生じることになるが、電位が高くなってくると漏洩(ろうえい)電流が増え、また放電もおこるようになるので、一定時間後にはこれらによって流失する電気量とベルトで運ばれる電気量が等しくなる電位でつり合うことになる。

[西村奎吾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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