雄勝(宮城県)(読み)おがつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雄勝(宮城県)」の意味・わかりやすい解説

雄勝(宮城県)
おがつ

宮城県東部、桃生郡(ものうぐん)にあった旧町名雄勝町(ちょう))。現在は石巻(いしのまき)市の東端を占める地域。1941年(昭和16)十五浜(じゅうごはま)村が町制施行して町名を雄勝町とした。2005年(平成17)石巻市に合併。旧町域は牡鹿(おしか)半島基部にあって、山地が海岸に迫り、主産業は雄勝港を中心とする漁業で、就業人口の30%近くを占めている。また中生代粘板岩がスレート瓦(かわら)、硯(すずり)に加工され、とくに硯は全国生産額の90%を占める。国の伝統的工芸品に指定され、1990年(平成2)に雄勝硯伝統産業会館、1998年に雄勝石ギャラリーが開館している。かつては船が主要な交通手段であったが、近年、国道398号など道路網が整備されたため孤立性が解消されつつある。雄勝湾内の呉壺(くれつぼ)は支倉常長(はせくらつねなが)らの遣欧使節船の建造地である。海岸一帯は三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)に含まれ、八景島(やけいじま)の暖地性植物群落は国指定天然記念物。また、600年以上の伝統をもつ法印神楽(かぐら)は国指定重要無形民俗文化財。

[境田清隆]

『『雄勝町史』(1966・雄勝町)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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