かくし‐だい【隠題】
〘名〙
題詠の一種。
和歌、
連歌、
俳諧で、内容に関係なく、題とされた
事物の名を直接表面に表わさないでよみこむもの。たとえば「
きりぎりす」という題を、「秋は霧霧過ぎぬれば雪降りてはるるまもなきみやまべの里(千載集‐物名)」で、「きり(霧)きり(霧)す(過)」とよみこむ類。物名
(もののな・ぶつめい)。詠込
(よみこみ)。立ち入り。
※
奥義抄(1135‐44頃)上「七、隠題歌。是古式に不
レ載事也。但古今并
拾遺集に物名部と云はこれにや。
近代の人是を称
二隠題
一也」
[語誌]平安時代に特に盛んで、「
古今集」「拾遺集」「千載集」には部立の一つとして「物名」があり、一般にもこの
技巧を「物名」といったが、
挙例の「奥義抄‐上」にあるように、詠み方をより明確に表わす
呼称として「隠題」という語が用いられるようになったと思われる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報