古代、軍防令(ぐんぼうりょう)にある、中国の軍制に倣った「鉦(しょう)」に由来する合図の軍器。軍勢を召集、進退させ、威武のために太鼓、法螺(ほら)貝とともに使用する釣鐘(つりがね)、伏鐘(ふせがね)、銅鑼(どら)などの打ち鐘で、集団戦を主とする戦国時代に普及した。古くは『続日本紀(しょくにほんぎ)』に騎兵を鉦で布陣させた記録があり、令制では官専用の軍器として、鼓、角(大角(はらふえ)・小角(くだぶえ))とともに私蔵を禁じた。中世、寺鐘の臨機の使用はあるが、軍記、絵巻にはみえず、わずかに『蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)』に、蒙古兵が太鼓とともに銅鑼を打つさまがみえる。戦国時代には、指令・示威にさまざまの鐘を打ち鳴らし、城郭内に鐘突(かねつき)堂を設け(『太閤記(たいこうき)』)たり、寺鐘を転用したりして、近世、軍陣専用の陣鐘という呼称を生じた。
[齋藤愼一]
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