防火塗料(読み)ボウカトリョウ(英語表記)fireproofing coating

デジタル大辞泉 「防火塗料」の意味・読み・例文・類語

ぼうか‐とりょう〔バウクワトレウ〕【防火塗料】

燃えにくい材料を混合してあり、引火や燃焼を困難にする塗料珪酸けいさんアルカリ・ポリ塩化ビニルなどが材料に用いられる。耐火ペイント

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「防火塗料」の意味・読み・例文・類語

ぼうか‐とりょう バウクヮトレウ【防火塗料】

〘名〙 火災による着火、延焼を防ぎ、燃焼速度を遅らせる塗料。加熱によって二酸化炭素水蒸気などを発生し、ガス発生時の潜熱による温度上昇の抑制、可燃性ガスの希釈、あるいは泡の層をつくって火を防ぐものなどがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「防火塗料」の意味・わかりやすい解説

防火塗料
ぼうかとりょう
fireproofing coating

耐火塗料ともいう。木材に塗装してその引火および燃焼を困難にする特殊塗料の総称組成として顔料ビヒクル(展色料)、希釈剤からなり、ビヒクルによってその効力を発生する。次のようなものがある。(1)ビヒクルとしてケイ酸アルカリを水に溶解し、それにクレータルクアスベストなどの顔料を加えたもの。(2)カゼインのような難燃性物質の水溶液に顔料を混合したもの。さらに(3)として、(1)と(2)の混合したものがある。最近ではポリ塩化ビニルに塩化パラフィンなどを加え、これに顔料を配合したものがある。

 防火塗料は塗料中の顔料の容積が50%以上のとき、または顔料成分中の酸化アンチモンSb2O3が20%以上含まれていると防火性が大になる。また、塗料中の塩化パラフィンの量が30%ないし55%のとき防火性は大である。ポリ塩化ビニルのそれ自身の含量で40%以上のときである。

垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「防火塗料」の意味・わかりやすい解説

防火塗料【ぼうかとりょう】

可燃物に塗装して着火,延焼を防ぎまたは遅延させるための塗料。水性防火塗料,溶剤溶性の発泡(はっぽう)性防火塗料などがある。前者はカゼイン,水溶性尿素樹脂などの展色剤にリン酸化合物,ホウ酸化合物,塩素化合物などの防火剤および顔料を配合したもの。後者はフタル酸樹脂,尿素樹脂などの展色剤またはこれに有機塩素化合物を添加したものに,防火剤,顔料,可塑剤,溶剤などを配合したもので,高熱で防火剤から発生するガスにより泡(あわ)を生じ熱を遮断(しゃだん)する。
→関連項目塗料

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「防火塗料」の意味・わかりやすい解説

防火塗料
ぼうかとりょう
fireproof coating

被塗物の火炎による着火,延焼を防ぐために塗る塗料で,次のようなものがある。 (1) 無機質防火塗料 無機質の顔料,展色剤,防火剤を配合してつくる。 (2) 水溶性防火塗料 水溶液の有機質の展色剤,顔料,防火剤を配合してつくる。 (1) (2) の防火剤としてはリン酸化合物,ホウ酸化合物などが用いられる。 (3) 発泡性防火塗料 展色剤,顔料のほかにリン酸塩,ホウ酸塩,アンモニウム塩など熱により不燃性ガスを発生する薬剤を加える。これらは熱により泡の層ができて防火の役割をする。 (4) 非発泡性防火塗料 難燃性の樹脂を展色剤とし,これに不燃性の顔料を加える。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「防火塗料」の意味・わかりやすい解説

防火塗料 (ぼうかとりょう)
fire retardant coating

被塗物の火災による着火,延焼を防ぐために塗る塗料。表にその種類,組成,特性を示す。現在の防火塗料は美装性,効果ともに十分でなく,あまり実用されていない。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「防火塗料」の解説

防火塗料
ボウカトリョウ
fire retarding paint

被塗物が着火,燃焼しにくい塗料.ケイ酸塩セメントなどの無機質塗膜と,ハロゲンを含む高分子ビヒクルによる有機質塗膜とがある.顔料としては,酸化アンチモンなど耐火性の無機顔料が配合される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報