金剛山(朝鮮民主主義人民共和国)(読み)こんごうさん

百科事典マイペディア の解説

金剛山(朝鮮民主主義人民共和国)【こんごうさん】

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮),江原道南東部,太白山脈の北部にあり,毘盧峰(1638m)を主峰に,分水界から西の内金剛,東の外金剛,東縁が日本海に没するあたりの海金剛に分かれる。特異な山容と渓谷美,景勝で古来観光地をなす。花コウ岩が浸食風化されて奇景を生んだ。楡岾(ゆせん)寺,長安寺,神渓寺,表訓寺を金剛四大寺と呼び,新羅時代に建てられたもの。付近一帯にはタングステン黒雲母などが埋蔵されている。韓国現代財閥は金剛山観光開発事業について北朝鮮と合意に達し,1998年11月から東海岸沿いに観光船を就航させた。2003年には陸路の観光ルートも開かれ,韓国の金大中・盧武鉉政権の太陽政策の後押しもあって,南北融和を象徴する事業となり,順調に発展するかのように見えた。しかし,2008年7月,韓国人女性観光客が北朝鮮兵士に射殺される事件が起こり,韓国政府は金剛山ツアーを停止する措置をとった。北朝鮮側は,この女性が立ち入り禁止区域に入ったため,としているが,南北両政府の見解は鋭く対立しており,観光事業の再開の目処は立っていない。
→関連項目元山現代自動車[会社]江原道五台山(韓国)雪岳山

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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