那智勝浦(読み)なちかつうら

改訂新版 世界大百科事典 「那智勝浦」の意味・わかりやすい解説

那智勝浦[町] (なちかつうら)

和歌山県南東部,熊野灘に面する東牟婁(ひがしむろ)郡の町。人口1万7080(2010)。北端に大雲取山(966m)がそびえ,那智川,太田川が南流。入り組んだ海岸線と熊野灘の荒波がつくり出す洞穴や奇岩,また沖の島々は〈紀の松島〉と称される景勝を展開,吉野熊野国立公園の一画をなす。町域北東部には熊野三山の一つ熊野那智大社(熊野大社)をはじめ,西国三十三所の第1番札所青岸渡(せいがんと)寺,〈女人高野〉とも呼ばれる妙法山阿弥陀寺などがあり,一大霊場を形成する。一方,那智湾に臨む勝浦を中心に南紀を代表する温泉郷(勝浦温泉)がひらけ,信仰と観光の町である。また海岸部は天然の良港をなし,勝浦はカツオ・マグロ漁の根拠地でもあり,宇久井(うぐい)は南紀の海の玄関としてフェリーの寄航地となっていた。浦神ではハマチ養殖が盛ん。ほぼ海岸線に沿ってJR紀勢本線と国道42号線が通る。
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