選択本願(せんちゃくほんがん)(読み)せんちゃくほんがん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

選択本願(せんちゃくほんがん)
せんちゃくほんがん

浄土宗では「せんちゃく」、浄土真宗では「せんじゃく」と読む。法然(ほうねん)(源空)が、自ら主張した念仏を特色づけるべく創説した仏教の用語。詳しくは選択本願念仏という。浄土に往生(おうじょう)するために人が口に南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と唱える念仏は、阿弥陀仏が因位(いんに)(仏となる前の菩薩(ぼさつ)の位)にあって二百十億の諸仏願行(がんぎょう)のなかより選択された本願に基づく正定業(しょうじょうごう)(かならず極楽往生することが定まった念仏の行業)であるという。法然は『選択本願念仏集』を撰述(せんじゅつ)するにあたって、善導(ぜんどう)の本願念仏義のうえに選択の一義をたてて、選択本願念仏の一行を鼓吹し、さらに八種選択義を創説して、選択本願念仏を説き勧めることこそ弥陀・釈迦(しゃか)・諸仏の本意であると力説した。

[藤堂恭俊]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例