逸物(読み)イチブツ

デジタル大辞泉 「逸物」の意味・読み・例文・類語

いち‐ぶつ【逸物】

いちもつ(逸物)」に同じ。
「この太刀、寸こそ短けれども、身においては―にてあるぞ」〈義経記・五〉

いち‐もつ【逸物】

群を抜いて優れているもの。特に、犬・牛・馬、または人などにいう。いちもち。いちぶつ。いつぶつ。
「犬は三頭が三頭ながら、大きさも毛なみも一対な茶まだらの―で」〈芥川偸盗

いつ‐ぶつ【逸物】

いちもつ(逸物)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「逸物」の意味・読み・例文・類語

いち‐もつ【逸物】

〘名〙
① 人物や馬、牛、犬、鷹などの、多くの中で、特にすぐれているもの。いちもち。いちぶつ。
※本朝文粋(1060頃)八・因流泛酒詩序〈大江匡衡〉「天下一物已上、連賓榻於林頭
太平記(14C後)一五「其中より逸物(イチモツ)の射手六百余人を勝(すぐっ)て」
② (揶揄的に) 悪いことにすぐれている者。
仮名草子・都風俗鑑(1681)三「ひたふる思ひいれてしんかうする逸物(イチモツ)等は彼やき手にうかされ」
③ (形動) その行動や処置が適当であること。また、そのさま。
※太平記(14C後)二九「有にかいなき大臆病の奴原は足纏(あしまとい)に成に、落失せたるこそ逸物(イチモツ)なれ」

いち‐もち【逸物】

〘名〙 =いちもつ(逸物)
※宇津保(970‐999頃)春日詣「舞ひ人は〈略〉名高きいちもちのものども」

いつ‐ぶつ【逸物】

〘名〙 =いちもつ(逸物)〔文明本節用集(室町中)〕

いつ‐もつ【逸物】

〘名〙 =いちもつ(逸物)〔文明本節用集(室町中)〕

いつ‐もの【逸物】

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