透頂香(読み)トウチンコウ

デジタル大辞泉 「透頂香」の意味・読み・例文・類語

とうちん‐こう〔‐カウ〕【透頂香】

外郎ういろう1」に同じ。公家が冠の中に入れて髪の臭気を去るのに用いたところからの名。

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精選版 日本国語大辞典 「透頂香」の意味・読み・例文・類語

とうちん‐こう ‥カウ【透頂香】

〘名〙 薬の名。外郎(ういろう)をいう。中国、元の礼部員外郎で、応安年間(一三六八‐七五)に日本に帰化した陳宗敬(延祐)が博多で創製し、後にその子孫が京都で製したという。室町時代外郎家北条氏綱に献上してから相模国(神奈川県)小田原名物となった。口中をさわやかにし頭痛を去り、痰(たん)を切るといわれ、また、戦陣の救急薬としたともいう。公家が冠の中に入れて髪の臭気を去るのに用いたところからの名。〔実隆公記‐享祿四年(1531)後五月二一日〕

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世界大百科事典(旧版)内の透頂香の言及

【外郎】より

…元朝が滅びたとき,礼部員外郎であった陳氏(宗敬,延祐,順祖などの名が伝えられるが,不詳)が日本へ亡命してきて博多に住んだ。多才な人で,とくに薬方にくわしかったため,足利義満は上洛を求めたが応ぜず,その子(宗奇,あるいは大年)が京都に移り住み,以後代々医を業として外郎家と呼ばれ,透頂香(とうちんこう)などの薬をも製した。《長禄二年以来申次記》などによれば,外郎家では毎年1月7日,12月27日に将軍に謁し,薬を献上する慣例であった。…

※「透頂香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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