軟泥(読み)なんでい

百科事典マイペディア 「軟泥」の意味・わかりやすい解説

軟泥【なんでい】

遠洋性深海堆積物の一種。30%以上が浮遊生物の殻などからなる細粒の堆積物。主要な構成物に基づいて,コッコリス軟泥グロビゲリナ軟泥,翼足虫軟泥,放散虫軟泥ケイ藻軟泥などに分ける。前3者は石灰質,後2者はケイ質。ケイ質軟泥は特に深海に多く,これは,著しい深海ではグロビゲリナの殻などの炭酸カルシウムは溶解してしまうためである。ケイ質軟泥は,しばしば赤粘土に移り変わる。ケイ藻軟泥は高緯度地方に特徴的。
→関連項目底質

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岩石学辞典 「軟泥」の解説

軟泥

軟らかい,ばらばらの深海堆積物で,大部分貝殻と浮遊生物性有機物の屑で構成されている[Muray & Renard : 1891, Holmes : 1965].主に浮遊生物の遺骸が分解されて生じた泥をいい,腐泥ともいう[木村ほか : 1973].例えばglobigerina ooze, radiolarian oozeなどがある.最近の軟らかい泥に不正確に用いられることがある.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軟泥」の意味・わかりやすい解説

軟泥
なんでい
ooze

おもにプランクトンの遺骸が沈積した大洋底の柔らかい泥の総称。主要成分により石灰質軟泥ケイ質軟泥とに分けられる。石灰質軟泥は生物の種類により,有孔虫の主要な属名をとってグロビゲリナ軟泥,コッコリス軟泥,翼足類軟泥に,ケイ質軟泥は放散虫軟泥,ケイ藻軟泥などと分類される。

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精選版 日本国語大辞典 「軟泥」の意味・読み・例文・類語

なん‐でい【軟泥】

〘名〙 やわらかいどろ。主としてプランクトンの遺骸が深い海底に沈積してできたもので、遺骸を重量で三〇パーセント以上含む堆積物。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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デジタル大辞泉 「軟泥」の意味・読み・例文・類語

なん‐でい【軟泥】

プランクトンなどの遺骸を30パーセント以上含む、海底の軟らかい泥。有孔虫軟泥などの石灰質軟泥と、珪藻軟泥などの珪質軟泥に分ける。

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世界大百科事典 第2版 「軟泥」の意味・わかりやすい解説

なんでい【軟泥 ooze】

陸地から遠く離れた深海底に沈積した遠洋堆積物の中で,生物の遺骸を重量で30%以上含むものを遠洋軟泥pelagic ooze(一般に略して軟泥)といい,石灰質軟泥ケイ質軟泥に分けられる。貝殻やサンゴ片が大量に堆積して生じた浅海の堆積物は軟泥とは呼ばない。 海には多くの種類の生物が無数に生活しているが,死ぬと肉体部分は分解し,炭酸石灰,リン酸石灰,ケイ酸などでできた殻や骨は海底に泥や砂とともに堆積する。

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世界大百科事典内の軟泥の言及

【ケイ質軟泥(珪質軟泥)】より

…海洋堆積物の一種。生物の遺骸を重量の30%以上含む堆積物を軟泥oozeと呼び,その成分によりケイ質軟泥と石灰質軟泥に大別される。ここでケイ質とは,石英(結晶質シリカSiO2,おもに陸源)ではなくて,生物体を構成する,水分子を持つ非晶質シリカ(オパール質シリカSiO2nH2O)を多く含むという意味である。海水中からシリカを抽出してオパール質シリカの殻をつくり,その死殻が堆積物中に保存される生物はケイ藻,放散虫,ケイ質鞭毛藻とカイメンである。…

【海底堆積物】より

…第2の供給源は海底・海水中の生物で,特に表層水(100m以浅,特に50m以浅)中で繁殖する各種の微小な植物性・動物性プランクトンで,その死骸は海底へ沈降し,マリン・スノーと呼ばれる。この死骸が堆積物の重量で30%以上のものは軟泥(石灰質軟泥ケイ質軟泥)と呼ばれる。このほかに海水中に溶解している元素が熱帯・亜熱帯の浅海で無機化学的に沈殿して生じる石灰岩・セッコウ・岩塩などの蒸発岩がある。…

【ケイ質軟泥(珪質軟泥)】より

…海洋堆積物の一種。生物の遺骸を重量の30%以上含む堆積物を軟泥oozeと呼び,その成分によりケイ質軟泥と石灰質軟泥に大別される。ここでケイ質とは,石英(結晶質シリカSiO2,おもに陸源)ではなくて,生物体を構成する,水分子を持つ非晶質シリカ(オパール質シリカSiO2nH2O)を多く含むという意味である。…

※「軟泥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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