軍艦旗(読み)グンカンキ

デジタル大辞泉 「軍艦旗」の意味・読み・例文・類語

ぐんかん‐き【軍艦旗】

軍艦艦尾国籍、および軍艦であることを示すために掲揚する旗。

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精選版 日本国語大辞典 「軍艦旗」の意味・読み・例文・類語

ぐんかん‐き【軍艦旗】

〘名〙 海軍艦艇が、国籍を示し、軍艦であることの表章として、艦尾、またはマストに掲揚する旗。明治二三年(一八九〇)以降、旧日本海軍では十六条の旭光を配する旭日旗を用いた。
愛弟通信(1894‐95)〈国木田独歩〉威海衛大攻撃北洋艦隊全滅!「他の檣頭に彼れの軍艦旗半ば裂けて風に翻るを見る」

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改訂新版 世界大百科事典 「軍艦旗」の意味・わかりやすい解説

軍艦旗 (ぐんかんき)

軍旗章の一つ。当該国海軍の艦船であること,ならびに当該国の主権の存在を表示する旗章であり,換言すれば軍艦の特権(不可侵権,治外法権,納税免除,礼遇享受)を代表する。航海中は常時,停泊中は午前8時に掲揚し,日没時に降下するのが原則である。また戦闘中は檣頭(しようとう)に掲げ,戦闘旗と称している。なお短艇は軍艦の分身であるので,外国港湾在泊中や外国艦船と交通する場合,そのほか祝祭日,儀礼などの際,軍艦旗を掲揚する。掲揚降下は元首に対する礼式に準じ,衛兵隊の捧銃(ささげつつ),国歌の吹奏のうちに行われる。日本の旧海軍の軍艦旗は,1855年(安政2)徳川幕府が従来各藩の船舶に随意の旗印が使用されていたのを改め,薩摩藩主島津斉彬の主唱により,異国船と紛れないよう総船印として〈白地日の丸〉を制定したのが起源である。70年(明治3)1月,〈日の丸〉の旗を日本国旗とし,船舶はこれを掲揚すべきことを定め,同年10月には軍艦旗と定められた。89年10月,日の丸に16の旭日の光線を添えこれを軍艦旗とし,従来軍艦に用いた国旗は艦首旗と改称した。軍艦旗はその性質上常に鮮明でなければならないが,煤煙,風雨などにさらされ非常に傷みやすく,修繕や更新を要するので,陸軍の軍旗と異なり,天皇から親しく授けられるものではなかった。海軍の旗章はこのほか天皇旗,皇族旗,海軍大臣旗,将旗,代将旗,長旗,司令旗,軍用船旗,赤十字旗などが定められていた。アメリカ海軍の軍艦旗は星条旗(国旗,the Stars and Stripesまたはthe Star-Spangled Bannerという)を使用している。イギリス海軍の軍艦旗the white ensignは白地を赤十字で四分した一隅に,国旗(Union Jack)を配した旗である。なお,青地に国旗を配したものは海軍予備隊旗the blue ensign,赤地に国旗を配したものは商船旗the red ensignである。旧ソ連海軍の軍艦旗は白地の下縁を青色で縁どり,これに赤星ならびに赤いハンマーと鎌を交差させたものを配した旗であった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「軍艦旗」の意味・わかりやすい解説

軍艦旗
ぐんかんき

海軍に属する艦艇に掲揚される旗。陸・海軍旗が制定されている国では海軍旗が、とくに制定していない国では国旗がそれにあたり、軍艦旗を掲げている間は、その国の主権・名誉と軍艦の特権を表し、外国の権域外にあることを示す。日本では1890年(明治23)10月、16条の旭光(きょっこう)を配する旭日旗(きょくじつき)が制定された。戦闘中はマストに掲げ、戦闘旗となった。海上自衛隊でも同じ図案の旗を自衛艦旗として使用している。

[寺田近雄]

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