跡を絶ゆ(読み)アトヲタユ

デジタル大辞泉 「跡を絶ゆ」の意味・読み・例文・類語

あと・ゆ

世間をのがれる。姿を隠す。
「深き山に―・えたる人だにも」〈澪標
人の行き来や便りがとだえる。
「雪深みみ山の道は晴れずともなほふみかよへあとたえずして」〈・薄雲〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「跡を絶ゆ」の意味・読み・例文・類語

あと【跡】 を 絶(た)

① (跡形がなくなるの意から) ゆくえをくらます。世間との交渉を絶つ。姿を隠す。また、浮き世を捨てて、隠遁(いんとん)境涯に入る。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「この山にまかり籠(こも)りしこと、五歳よりなり。其ののち、あとたえて、まかり出づることなし」
② 人跡が絶える。人の行き来がなくなる。
源氏(1001‐14頃)末摘花「おとなひきこゆる人もなかりけるを、まして、今は、浅茅わくる人もあとたえたるに」
音信がとだえて、様子がわからなくなる。
※源氏(1001‐14頃)橋姫「京のことさへあとたえて」
④ 姿が見えなくなる。存在しなくなる。また、絶滅する。
平家(13C前)二「五障の女人跡たえて、三千の浄侶居をしめたり」
⑤ 跡つぎがなくなる。家が断絶する。

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