隠遁(読み)いんとん

精選版 日本国語大辞典 「隠遁」の意味・読み・例文・類語

いん‐とん【隠遁】

〘名〙
① 世の俗事を捨て隠れ住むこと。遁世
明衡往来(11C中か)下本「最所望也。隠遁之身」
東関紀行(1242頃)序「これ即ち、身は朝市にありて、心は隠遁にあるいはれなり」 〔後漢書‐逸民伝・矯慎〕
② 逃げ隠れること。
※貴嶺問答(1185‐90頃)「少女等恐強姧隠遁、青侍又伴彼女子逐電」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「隠遁」の意味・読み・例文・類語

いん‐とん【隠×遁】

[名](スル)俗世間を逃れて隠れ住むこと。遁世とんせい。「庵を結び隠遁する」「隠遁者」
[類語]閑居わび住まい隠居隠棲隠退

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「隠遁」の意味・わかりやすい解説

隠遁
いんとん

世俗を離れて生活すること。世間を去って山中などに住み,仏教修行に専心すること。また特に,自力門を離れて,浄土教信仰に入ることもいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の隠遁の言及

【隠者】より

…13世紀以降,隠者も共同組織にくわえられることが多く,アウグスティヌス会,カルトゥジア会,カルメル会などが成立し,現在にまで存続する。【樺山 紘一】
[日本]
 日本でも,世俗の生活を捨てたり,そこでの社会的・人間的な関係のもつ制約から逃れ,ときに山野に隠れ住む人を隠者といい,その行為を隠遁という。日本古代の隠遁は老荘や儒教の影響をうけた中国の隠逸を模倣し,官僚社会から逸脱した生活を憧れる観念としてあらわれた。…

※「隠遁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android