跡を垂る(読み)アトヲタル

デジタル大辞泉 「跡を垂る」の意味・読み・例文・類語

あと・る

《「垂迹すいじゃく」を訓読みにした語》仏や菩薩ぼさつ衆生しゅじょうを救うため、仮に神の姿になって現れる。
「南には八幡大菩薩男山に―・れ」〈保元・上〉
模範を示す。また、模範とする。
「弥陀次郎が跡垂れて発心もならざれば」〈浮・永代蔵・五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「跡を垂る」の意味・読み・例文・類語

あと【跡】 を 垂(た)

(「垂迹(すいじゃく)」の訓読)
① 本地である仏、菩薩衆生を救うため、かりに神や偉人となって此の世に現われる。
源氏(1001‐14頃)明石「住吉の神、ちかき境(さかひ)を鎮(しづ)め守り給、まことにあとをたれ給ふ神ならば、たすけ給へ」
② その本来の居所と別の所に出現する。または、住むようになる。
更級日記(1059頃)「これもさきの世にこの国にあとをたるべき宿世(すくせ)こそありけめ」
先人の行ないにならう。手本としてあとをしたう。
※仮名草子・元の木阿彌(1680)上「道哲といひし道心、万日の念仏をおこなひすまして居たる草庵なり。今にそのあとをたれて、昼夜怠る事なし」
④ 模範として示し残す。範を垂る。

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