贋物・偽物・似物・贋者・偽者・似者（読み）にせもの

精選版 日本国語大辞典

にせ‐もの【贋物・偽物・似物・贋者・偽者・似者】

〘名〙

① 実物に似せて作ったもの。模造品、また、本ものに見せかけて作ったもの。まがいもの。ぎぶつ。がんぶつ。〔文明本節用集（室町中）〕

※俳諧・三千風笈さがし（1701）下「このありさまは塵世を出離の似せものとやいはん」

② 本人に見せかけた別人。

※許六宛去来書簡‐元祿八年（1695）正月二九日「其外の似せものめら、何之分もなく、『そっと』『ちっと』など申候とて」

③ 職業や身分をごまかしている人。他の身分、職業をよそおう人。

※町人嚢（1692）二「武士の似せ物せんよりは、ただ其儘の町人こそ心安けれと」

④ 和歌や連歌俳諧で、語の本来の意味から離れて比喩的に用いることをいう。花・月・雨に対する波の花・雪の月・木葉の雨などをさす。〔俊頼髄脳（1115頃）〕

出典　精選版 日本国語大辞典