豆酘観音堂跡(読み)つつかんのんどうあと

日本歴史地名大系 「豆酘観音堂跡」の解説

豆酘観音堂跡
つつかんのんどうあと

[現在地名]厳原町豆酘

豆酘にあった観音堂。平安期からみえる酘豆御寺の中心とされた観音堂で、寛弘五年(一〇〇八)初鋳という梵鐘銘に「対馬島下県郡酘豆御寺」とあり、多久頭たくつ神社の神宮寺とみられるこの寺が同年までには存在していた。本尊の十一面観音像は行基作とされるが、伊能忠敬は本尊の普陀山十一面観音が霊亀年間(七一五―七一七)天道法師が開基したという所伝を紹介している(伊能忠敬測量日記)。対馬六観音の筆頭にあげられていたが、昭和三一年(一九五六)の火災で今は見る影もない。このほか中世の名宝を多く伝える。高麗版大蔵経(県指定文化財)は伽耶山海印かいいん寺の木版と合致し、乙巳五月日銘(高麗高宗三二年とされる、一二四五年)の大鉦(金鼓、国指定重要文化財)は総高八一センチで、韓国にも例のない大作という。鉦に正平一二年(一三五七)一〇月一八日の追刻銘があることから、このとき大蔵経などとともに施入されたものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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