諸国間友好関係宣言(読み)しょこくかんゆうこうかんけいせんげん(英語表記)Declaration on Principles of International Law concerning Friendly Relations and Co-operation among States in accordance with the Charter of the United Nations

日本大百科全書(ニッポニカ) 「諸国間友好関係宣言」の意味・わかりやすい解説

諸国間友好関係宣言
しょこくかんゆうこうかんけいせんげん
Declaration on Principles of International Law concerning Friendly Relations and Co-operation among States in accordance with the Charter of the United Nations

国連の25周年を記念して1970年に採択された総会決議で、正式名称は「国際連合憲章にしたがった諸国家間の友好関係と協力に関する国際法の諸原則についての宣言」。総会が1962年に国際法の漸進的発達と法典化に関して議論した際、社会主義諸国とアジア・アフリカ諸国から、平和共存に関する国際法の原則を優先的に審議するよう要求が出された。この背景には、当時の国際法が、複数の社会主義国の登場や植民地の崩壊に伴う新興国の登場といった第二次世界大戦後の国際社会の構造変化を十分反映しておらず、これら諸国の利益を実現していないという認識があった。この要求に対し先進資本主義国は、国際法の変革国連憲章の枠内に押し込めるために逆提案を行い、これが宣言の名称の源となった。宣言は9年がかりで起草され、七つの国際法の原則を規定している。つまり、(1)武力による威嚇または武力行使の禁止、(2)国際紛争の平和的解決、(3)国内管轄事項に対する不干渉、(4)国際協力の義務、(5)人民の同権と自決、(6)主権平等、(7)国際義務の誠実な履行、の諸原則である。この宣言は、現代国際法の基本原則を明らかにしているとともに、国連憲章を、その成立以後の国際社会の変化にあわせて、再解釈する基準を示しているといえる。

[佐分晴夫]

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