言交(読み)いいかわす

精選版 日本国語大辞典 「言交」の意味・読み・例文・類語

いい‐かわ・す いひかはす【言交】

〘他サ五(四)〙
① 互いに話し合う。語り合う。
※枕(10C終)一〇四「まことに皆酔ひて、女房どものいひかはすほど、かたみにをかしと思ひためり」
手紙や歌のやりとりをする。文通する。
大和(947‐957頃)三「まもなくこれよりもかれよりもいひかはし給ひけるを」
男女が情を通わす。また、夫婦になる約束をする。
伊勢物語(10C前)二一「又々ありしより異にいひかはして」
④ 約束する。
※虎寛本狂言・宗論(室町末‐近世初)「いったん出家沙門の云かはいた事をひるがへすという事が有る物か」

こと‐ま・ず【言交】

〘自ザ下二〙
① 人の話に口をさしはさむ。ことばをまぜる。口を出す。意見がましい口をきく。
※能因本枕(10C終)二〇「とく書きて参らせ給へ。をのこはことますべきにも侍らず」
② (「事交ず」の意か) 仲間として加わる。仲間入りする。
源氏(1001‐14頃)若菜下「女がくにえことまぜでなむ逃げにけると伝はらむ名こそ惜しけれ」

いい‐かわせ いひかはせ【言交】

〘名〙 (動詞「いいかわす(言交)」の連用形名詞化「いいかわし」の変化したもの) 言葉をかわすこと。話し合い。約束。特に、夫婦になる約束。
浮世草子傾城禁短気(1711)一「我身にはふかいいひかはせの男あれば」

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