視聴覚センター・ライブラリー(読み)しちょうかくせんたーらいぶらりー

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

視聴覚センター・ライブラリー
しちょうかくせんたーらいぶらりー

視聴覚機器および教材貸与、または製作の援助をし、利用者の便を図るための施設。1955年(昭和30)ころ視聴覚ライブラリー法制化運動をはじめとし、1960年代の適正規模の地域に適正に配置するための諸研究、そして1971年および1981年の文部省社会教育局(現文部科学省生涯学習政策局)による「視聴覚ライブラリーのありかたについて」と「視聴覚センター・ライブラリーのありかたについて」の報告書等に基づき、都道府県および市(区)町村単位に設置・運営されている施設あるいは事業である。2009年(平成21)4月1日現在、施設のうち公立視聴覚センター・ライブラリーは、47都道府県に都道府県立が49、市区町村立が565施設あり、同じく任意視聴覚ライブラリーは、都道府県立11、市区町村立66施設あり、総計691施設を数える。

[篠原文陽児]

機能

(1)視聴覚教材や教育機器のうち、学校・公民館等の社会教育施設・団体等が単独で保有することが困難なものを収集・整理・保管して、(2)関係者の求めに応じ、教材や機材を貸与して利用に供するとともに、(3)これらの製作および製作の援助をする。また、(4)技術研修会の開催や解説資料の作成・配布などのサービス活動を行う。2008年度(平成20)の公立視聴覚センター・ライブラリーの市販教材保有数調査によれば、施設により保有数に偏りがあるものの、16ミリ映画と録画教材のそれぞれの総数は、前者が27万3052本、後者が62万5367本であり、このうち自作録画教材数は2万4555本となっている。一方、同じく公立視聴覚センター・ライブラリーの事業規模は、視聴覚機器とIT関連機器の講習・研修会でみると、それぞれ1103回と1771回である。今後は、高度情報通信ネットワーク等を活用した他の機関との連携等に有用な情報検索利用システムの構築、その利用指導体制の確立および施設に勤務する専門家を含む人材養成確保が、課題である。

[篠原文陽児]

『日本映画教育協会編・刊『視聴覚ライブラリー問答集』(1972)』『日本視聴覚教材センター編・刊『視聴覚教育メディアの活用――文部省「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」準拠』(1992)』『日本視聴覚教育協会編・刊『視聴覚センター・ライブラリー一覧』平成21年度版』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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