覆勘状(読み)ふくかんじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「覆勘状」の意味・わかりやすい解説

覆勘状
ふくかんじょう

覆勘とは重ねて取り調べる意味の語で、平安時代以降、上司が下級機関からの申請を取り上げ、内容を調査、確認して承認することをいった。鎌倉幕府の訴訟制度では、敗訴者が判決内容に過誤があることを理由として再審を請求することをいい、最初の審理を担当した引付(ひきつけ)で再審理した。このような、重ねて確認する意味が拡大されて、勤務遂行の確認証明書として、覆勘状という文書が作成されるようになった。とくに鎌倉幕府では、京都大番役(おおばんやく)や異国警固番役など軍役を勤務した御家人(ごけにん)に与える勤務終了証明書を覆勘状といった。御家人を指揮する守護(または守護代)・探題が署名して、当該御家人に交付するものが多いが、守護から侍所(さむらいどころ)への報告書の形をとるものもある。

[羽下徳彦]

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