上司(読み)じょうし

精選版 日本国語大辞典 「上司」の意味・読み・例文・類語

じょう‐し ジャウ‥【上司】

〘名〙
荘官一つ荘園領主に代わって、下司(げし)公文(くもん)などの下級荘官を指揮して、年貢徴収など荘園経営の実際の仕事をした。預所(あずかりしょ)
平戸記‐仁治元年(1240)一一月六日「可寛治定文者、可申上司 是預所也」
② その官庁より上級の官庁。また、官庁や会社で役職が自分よりも上位にある人。自分の属している部署で指図をする人。うわやく。
市制及町村制(明治二一年)(1888)市制・六四条「法律命令又は上司の指令に依て」 〔後漢書‐楊震伝〕

かみつかさ【上司】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「上司」の意味・読み・例文・類語

じょう‐し〔ジヤウ‐〕【上司】

その人より役職が上位の人。上役。「上司の許可を得る」
その官庁の上級の官庁。
荘園制で、現地で実務にあたる下司げしに対し、在京荘官。預かりどころ
[類語]目上上長長上先輩先達先学先覚学兄上官上役うわやく
[補説] 
2016年に実施した「あなたの言葉を辞書に載せよう。2016」キャンペーンでの「上司」への投稿から選ばれた優秀作品。

◆コマの芯棒。歪んでいると全てが万事、円滑に回らない。
燻製カレーさん

◆いるとうざいがいなくても困るもの。
ナイジェルさん

◆仕事上のアドバイザーに徹してほしいが、人生のアドバイザーになりたがる存在。大きなお世話。
まちまるさん

◆良いことも悪いことも教えてくれる、学ばせてくれる存在。仲良くなれば色々得することもある。
chinaさん

◆仏にも鬼にもなりうる存在。
快速準急さん

◆選ぶことはできないが、尻拭いをしてくれたりさせられたりする存在。当たれば天国、はずれれば転職。
梅子さん

部下を選ぶことができず、部下もまたその逆の立場である者のこと。
一二三茶さん

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改訂新版 世界大百科事典 「上司」の意味・わかりやすい解説

上司 (じょうし)

荘園の経営に当たる上級荘官。下司(げし)に対する呼称で,一般には預所(あずかりどころ)をさす。《平戸記》には〈寛治の定文に依るべくんば,上司と申すべきは是預所也〉とある(ただし,例は少ないが預所を〈中司〉と呼ぶこともある)。上司職ということもあり,1147年(久安3)東大寺政所は大法師覚光を飛驒荘上司職に補任している。上司の史料上の初見は,1024年(万寿1)3月9日の興福寺唯摩会料所の大和国葛上郡菓子御園司解状の署判者に,駿河介賀茂光頼と僧4名が〈上司〉として見えるものである。12世紀前半,預所として対国衙闘争に勝ち抜き,東大寺領伊賀国黒田荘を東大寺の一大荘園として完成させた覚仁も〈上司威儀師〉と署判している。上司には当然給分があり,上司佃・上司畠などと記す史料がある。鎌倉幕府は,御家人が荘園の預所となることを,地頭である傍輩の上に立つことになる(傍官上司)としてこれを禁じた。
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普及版 字通 「上司」の読み・字形・画数・意味

【上司】じようし

上役。

字通「上」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の上司の言及

【下司】より

…〈げす〉ともいう。本来上司(うえつかさ)に対する下司(したつかさ)で,身分の低い官人の意であるが,普通中世荘園において,在京荘官の預所(あずかりどころ)を上司あるいは中司というのに対して,現地にあって公文(くもん),田所,惣追捕使等の下級荘官を指揮し,荘田・荘民を管理し,年貢・公事の進済に当たる現地荘官の長をいう。惣公文と呼ばれることもある。…

【預所】より

…総じて鎌倉後半期から武士の預所化や,預所の武士化がすすむ。なお預所は,在地荘官の下司(げし)に対し,中司または上司と呼ばれることがある。中司は在荘預所,上司は在京預所の場合が多い。…

※「上司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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