裂・割(読み)さく

精選版 日本国語大辞典 「裂・割」の意味・読み・例文・類語

さ・く【裂・割】

[1] 〘他カ五(四)〙
一つにまとまったものを、手などで二つに離す。ひきやぶる。やぶく。割る。
書紀(720)神代下「磐裂(いはサク)〈磐裂。此をは以簸娑と云ふ〉根(ね)(サク)の神之子」
刃物などで切りひらく。切り割る。切り裂く。
今昔(1120頃か)二「此の腹の中に我有り。刀深く入れて不可割(さくべから)ず、心知らひて可割(さくべ)し」
目尻などを裂いて入墨をする。
古事記(712)中・歌謡「胡(あめ)鶺鴒(つつ) 千鳥ま鵐(しとと) 何ど佐祁(サケ)る利目(とめ)
④ 人と人との仲を隔てる。
※頼政集(1178‐80頃)下「まどろまば驚かすなよあふとみる夢にも中をさくと思はん」
⑤ 一部を分けて他にあてる。
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉雨の降る日「清も御掛けと云って自分の席を割(サ)いて遣った」
[2] 〘自カ下二〙 ⇒さける(裂)

さ・ける【裂・割】

〘自カ下一〙 さ・く 〘自カ下二〙 一つのものがするどく線状に切れて二つに離れる。また、切れ目がはいる。
※古事記(712)上「故、今に海鼠(こ)の口析(さ)けてあり」
万葉(8C後)一〇・一九九五「六月の地さへ割(さけ)て照る日にもわが袖干(ひ)めや君に会はずして」 〔和英語林集成初版)(1867)〕

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