行着(読み)ゆきつく

精選版 日本国語大辞典 「行着」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐つ・く【行着】

〘自カ五(四)〙
① 進んで行って目的地にたどりつく。到着する。いきつく。
大和(947‐957頃)御巫本附載「やうやう近く、すざかの間に来て、この車にゆきつき、なほうたひければ」
資力気力精力などが最後のところ・段階に至る。いきつく。
浮世草子・商人軍配団(1712か)二「大名借の中間へ入て、おもはぬ大損をしてゆきつき」
③ すっかり酒に酔う。酔いつぶれる。いきつく。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)京「むしゃうに飲で、かたはしから行(ユキ)つくを、すぐに床へかたづけ」
④ すっかり夢中になる。ほれこむ。いきつく。
浄瑠璃嫗山姥(1712頃)二「又同じ廓に小田巻と云太夫、彼の男にゆき付て」
一面に付着する。行きわたってつく。
※能因本枕(10C終)三「顔のきぬもあらはれ、白き物のゆきつかぬ所は、まことに黒き庭に雪のむら消たる心ちし」

いき‐つ・く【行着】

〘自カ五(四)〙
① 目的地にたどりつく。到着する。また、目ざした状態に達する。ゆきつく。
※大和(947‐957頃)一〇一「五条にぞ少将の家あるにいきつきてみれば」
② 続ける精力、資力等が最後のところにくる。いきづまる。
※浄瑠璃・心中天の網島(1720)中「治兵衛身代いきついての金につまってなんどと」
③ すっかり酒に酔う。酔いつぶれる。
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)三「たとへ酒にいきついてもきづかいな事がない」
④ 命がつきる。死ぬ。
※浮世草子・浮世親仁形気(1720)四「当年中にいきつく老人も見へわたれば」
⑤ すっかり惚(ほ)れてしまう。心底好きになる。
※浄瑠璃・加増曾我(1706頃)三「大磯のとらがこと、十郎めがいきついて、誰がよぶでも来ると聞」

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