行抜(読み)ゆきぬけ

精選版 日本国語大辞典 「行抜」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐ぬけ【行抜】

〘名〙 (形動)
① 行って先へ抜け出ること。とおりすぎること。また、その場所やそのさま。とおりぬけ。いきぬけ。
京雀(1665)四「上(かみ)にては千本通といふこの筋北の行ぬけは丹波にこゆる道なり」
② 右から左へ出ていってしまうこと。すぐに無くなって自分の手に利益が残らないこと。また、その物やそのさま。
歌舞伎八幡祭小望月賑縮屋新助)(1860)序幕「『それぢゃあ今日は金方だな、ちっと浮かれるがいいわな』『イヤモその金も見たばっかり、行(ユ)き抜(ヌ)けでござりまする、ははははは』」
③ (行き止まりがない意から) 限度のないこと。底抜けであること。また、だらしがないこと。また、そのさま。いきぬけ。
※にごりえ(1895)〈樋口一葉〉三「菊の井のお力は行(ユキ)ぬけの締りなしだ、苦労といふ事はしるまい」

いき‐ぬけ【行抜】

〘名〙
① 先へ抜けて出ること。抜け通っていること。また、通り抜けられる所。通り抜け。いきぬき。
※俳諧・五元集(1747)亨「いきぬけの庭や鐙摺菊の花」
② (行き止まりがない意から) 限度のないこと。底抜け。いきぬき。「いきぬけの馬鹿」
取引で利益を得ないで商品を売ること。

ゆき‐ぬ・ける【行抜】

〘自カ下一〙 ゆきぬ・く 〘自カ下二〙 行って先へ抜け出る。とおりすぎる。とおりぬける。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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