藍鉄鉱(読み)らんてっこう(英語表記)vivianite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藍鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

藍鉄鉱
らんてっこう
vivianite

含水リン酸塩第一鉄鉱物の一つ。かつてメタ藍鉄鉱metavivianiteと同質異像関係にあるとされたが、この種においては、第二鉄が必須(ひっす)成分であることが合成実験などから確認され、同質異像関係は解消された。堆積(たいせき)岩中に団塊あるいは層状集合をなし、その中に細脈として発達することもある。またある種の熱水鉱脈鉱床、花崗(かこう)岩質ペグマタイト中にも産する。自形は平行四辺形の側面をもった板状、あるいは柱状をなし、中空あるいは緻密(ちみつ)な球顆(きゅうか)状集合をつくることもある。本来は無色透明だが、空気に触れると急速に藍青色に変化する。日本でのおもな産出は、兵庫県神戸市押部谷(おしべだに)の堆積岩中、栃木県足尾鉱山(閉山)の熱水鉱脈中など。英名ビビアナイトは発見者であるイギリスの鉱物学者ビビアンJohn Henry Vivian(1785―1855)にちなむ。

[加藤 昭 2018年12月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藍鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

藍鉄鉱
らんてっこう
vivianite

単斜晶系の鉱物。 Fe3(PO4)2・8H2O 。鉄は2価であり,ときに少量のマンガン (II) ,カルシウム,マグネシウムなどにより置換される。新鮮な結晶は無色透明であるが,酸化により鉄 (III) 含量が増加し,暗青色ないし暗緑色を呈する。硬度 1.5~2,比重 2.68。酸に溶けやすい。ペグマタイトなどの酸化帯に産するほか,有機物などとともに堆積岩中に産する。

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デジタル大辞泉 「藍鉄鉱」の意味・読み・例文・類語

らん‐てっこう〔‐テツクワウ〕【藍鉄鉱】

鉄の含水燐酸塩りんさんえん鉱物。単斜晶系に属し、柱状・板状の結晶、または土状・球状で産出。無色透明であるが、空気に触れると藍青色に変わる。

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精選版 日本国語大辞典 「藍鉄鉱」の意味・読み・例文・類語

らん‐てっこう ‥テックヮウ【藍鉄鉱】

〘名〙 鉄の含水燐酸塩鉱物。単斜晶系。ふつうは暗青色土状をなす。〔鉱物字彙(1890)〕

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