蕭抱珍(読み)しょうほうちん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蕭抱珍」の意味・わかりやすい解説

蕭抱珍
しょうほうちん

生没年不詳。中国の道士。金(きん)・元(げん)代に成立した新道教の一種である太一(たいいつ)教の開祖。封号は一悟真人(いちごしんじん)。河南汲(きゅう)県の人。金の煕宗(きそう)の天眷(てんけん)年間(1138~1140)に太一教を開き、たちまちにして河北・山東一帯に教勢が伸び、開祖は金王朝の庇護(ひご)を受けて、その本山には太一万寿宮の勅額を下賜された。また元代にはフビライから太一教宗師(そうし)の名を許された。この教団の祖師については第2代の蕭道煕(どうき)より第7代の蕭天祐(てんゆう)まで道名・封号ともに判明しているが、第8代以降の法系は明らかでなく、また教義などの面に不明な点が多い。おそらく北方の全真(ぜんしん)教や江南の正一(しょういつ)教(天師道)の勢力に押されるか、もしくは吸収されていったものとみられている。

[澤田瑞穂 2018年5月21日]

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世界大百科事典(旧版)内の蕭抱珍の言及

【太一教】より

…中国の道教の宗派の一つ。12世紀中葉,道士蕭抱珍(しようほうちん)によって開かれた。太一教の名は蕭抱珍が〈太一三元法籙〉というおふだを伝えたことに由来する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」