莫臥児・莫臥爾(読み)モール

精選版 日本国語大辞典 「莫臥児・莫臥爾」の意味・読み・例文・類語

モール【莫臥児・莫臥爾】

〘名〙 (mogol インドの旧王朝名から)
① (インドのモゴル(ムガル)帝国時代の特産という) 絹の紋織物の一種。繻子(しゅす)地に絵緯(えぬき)で模様を織り出し、これをからみ経(たていと)で押えたもの。もとは名物裂系の舶来のもので茶人などに愛好されたが、後これに似せたものが作られた。女帯地などに用いる。緯(よこいと)金糸または銀糸を用いたものは特に金モール・銀モールと呼ばれた。モール織。〔和漢三才図会(1712)〕
② 金・銀のメッキを施した金属の細線をらせん状に巻いてつくった飾り糸。肩章や刺繍などに用いる。モール糸。
※青べか物語(1960)〈山本周五郎〉芦の中の一夜「かぶっている帽子には錆びて黒ずんだモールと、徽章が付いていた」
③ 糸に色のついた薄片を撚り合わせてけばを立てたもの。商店の装飾やクリスマスの飾りなどに用いる。
上海(1928‐31)〈横光利一〉四「甲谷はまた宮子と組んで、モールの下で揺れ始めた男女の背中の中へ流れ込んだ」
針金と色のついた繊維を撚り合わせて切り、ビロード状のけばを立てたもの。手芸・工作などに用いる。
※巷のイエス・キリスト(1957)〈檀一雄〉霧と奇蹟「母アちゃんはモールのサンタクロースつくりでいそがしいんだって」
⑤ 「モールがわ(━革)」の略。

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