モール(手芸、織物)(読み)もーる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モール(手芸、織物)」の意味・わかりやすい解説

モール(手芸、織物)
もーる

(1)moor(オランダ語)
 細い針金を芯(しん)に、着色した繊維と別の針金を撚(よ)り合わせ、ビロード状の毛羽を立てたもの。工作、手芸装飾などに用いる。また、モール細工のアクセサリーなども市販されている。さらに、歯科医学の分野でも、モールでつくられた歯間部用歯ブラシがアメリカから輸入されており、歯科医や患者の間で好まれて使われている。

(2)mogol(ポルトガル語)
 モール織のことで、絹の紋織物の一種。経(たて)は絹糸で、緯(よこ)に金糸を用いたものを金モール、緯に銀糸を用いたものを銀モールとよぶ。モールとは毛虫の意味で、16世紀インドのムガル帝国で産した緞子(どんす)に似ている。繻珍織(しゅちんおり)、絵緯(えぬき)リボン状織物も、総括してモール織とよぶ。

[市川久美子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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