荒鼠(読み)あれねずみ

精選版 日本国語大辞典 「荒鼠」の意味・読み・例文・類語

あれ‐ねずみ【荒鼠】

[1] 〘名〙 暴れまわる鼠。あれ狂う鼠。乱暴者にたとえても用いる。
※俳諧・俳諧三部抄(1677)下「引こむは陶淵明こころにて 田園まさにあれ鼠なり〈惟中〉」
[2] 地唄作物(さくもの)作者不明。宝暦年間(一七五一‐六四)の作。鼠の大将家来を指揮しているところへ猫が現われ、大騒動になるという筋。同類の曲に、「曲鼠」「鼠の道行」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「荒鼠」の意味・わかりやすい解説

荒鼠 (あれねずみ)

地歌。作詞・作曲者不明。1784年(天明4)刊《新撰詞曲よしの山》に,半太夫物上方吾妻浄瑠璃として行われた座敷浄瑠璃を摂取したもの)として初出。本調子。特に詞章が滑稽で,座興的な作物(さくもの)の一つ。1801年(享和1)版《新大成糸のしらべ》以降,作物として収録されている。深夜家中を走りまわるねずみたちの様子をおもしろおかしく語る。この詞章を取捨して,特に三弦の手を工夫した曲に《曲ねずみ》がある。
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