茶摘機(読み)ちゃつみき

改訂新版 世界大百科事典 「茶摘機」の意味・わかりやすい解説

茶摘機 (ちゃつみき)

生育したチャ若葉を摘み採る機械。摘採り法には,手摘み,手ばさみ摘みと動力摘採り機を使った動力摘みがある。玉露や高級煎茶のようにとくに品質を要求される茶葉の産地ではまだ一部で手摘みが行われているが,はさみ摘みか動力摘みが一般的である。手摘みをする場合は摘み採るべき茶葉を選択して収穫できるが,はさみ摘みおよび動力摘みでは枝先の生長部分の大半を摘み採ることになる。茶摘みばさみは1892年ころ静岡県で考案され,1921年ころから実用化された。摘採りばさみは一般の刈込みばさみに類似した形状をしており,刃渡りは20~25cmくらいの長さのものがよく使われる。摘採り作業時には,下刃の枠に集葉のための布袋を取りつけ,刈り取った茶葉を上刃についている受板で右方へかき寄せ集葉袋に収納する。手摘みでは1日せいぜい15kg程度の能率であるが,はさみを使用すると10倍以上の能率が得られ,茶園面積では3~4aである。動力摘採り機は刈刃部を小型エンジンや小型電動機で駆動するものである。刈刃部を両手で保持し,歩行しながら摘採り作業を行うが,動力源がエンジンの場合はこれを背負い,フレキシブル継手で伝動する。電動機の場合は小型発電機あるいは電池よりコードで給電する。刈刃部の型式にはシリンダー刃型,往復動刃型および回転刃型のものがあり,それぞれ茶葉を袋に集める機構がついている。動力摘採り機の作業能率は,1日当りの摘採り量で300~500kg,面積にして7~10a程度である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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