茶戸里遺跡(読み)たおりいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「茶戸里遺跡」の意味・わかりやすい解説

茶戸里遺跡
たおりいせき

韓国慶尚南道義昌郡茶戸里の丘陵一帯に立地する原三国時代の墓地遺跡。 1986年に国立中央博物館が調査した。墳墓木棺墓で,その規模・形態・内容等から3類に分けられる。第I類は大型の墓壙 (ぼこう) の底に腰坑 (副葬壙) を伴う。1号墓がこれに相当し,土壙掘削後,さらに壙底中央に腰坑を設置,副葬品を詰めたかごを収め,その上に直径 1m程度の割竹形木棺安置,墓壙と木棺の間隙にも副葬品を入れる。第 II類はI類に準じるが,腰坑がないもの。 III類は墓壙が小規模で,腰坑もなく副葬品も乏しい。第I・II類墓には豊富な副葬品が見られ,木製品や果物など有機質遺物の保存が良好。土器は後期無文土器~前期瓦質土器で,瓦質土器は古式の提袋形壺が主体。青銅器には銅剣銅鉾,銅鏡 (星雲鏡) ,帯鉤,小銅鐸 (どうたく) があり,鉄器では剣,矛,鍬 (くわ) ,鋤 (すき) のほか板状鉄斧 (てっぷ) が注目される。このほか多彩な漆器 (漆鞘,弓,甲,容器類,筆) ,ガラス玉等がある。五銖銭,漢鏡,帯鉤等の漢系遺物は漢,楽浪郡との密接な交流をうかがわせる。弥生文化を考える上でも重要な遺跡である。

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