デジタル大辞泉
「苦笑」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
く‐しょう ‥セウ【苦笑】
〘名〙 おもしろくてではなく、仕方なくする笑い。
返答にとまどったり、不愉快に思っても
表面に出せない時などに思わずする笑い。にが
わらい。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一「呵々然として苦笑(〈注〉イヤナワラヒ)し、
陰悪の相忽ち面に現はる」
※
明暗(1916)〈
夏目漱石〉一「
津田の顔には苦笑
(クセウ)の裡
(うち)に淡く盛り上げられた
失望の色が見えた」
[
補注]明治初期に「にがわらい」の漢字表記「苦笑」を音読みして成立したものか。または、英語 bitter smile の
直訳か。
にが‐わらい ‥わらひ【苦笑】
〘名〙 にがにがしく思いながら笑うこと。また、笑いたくもないのに、しいて笑うこと。くしょう。
※中院本
平家(13C前)三「うへには事なきやうなれども、したには心ようじんつねにして、にがわらいにのみぞおはしける」
※
義経記(室町中か)五「今日の命生きて、
御前ににがわらひしてぞ出来ける」
にがり‐わら・う ‥わらふ【苦笑】
※
源平盛衰記(14C前)
三四「人に打たれ給たるか、又はられ給けるかと問ければ、判官苦笑
(ニガリわらフ)てぞ帰ける」
にが‐わら・う ‥わらふ【苦笑】
〘自ハ四〙 にがにがしい思いで笑う。くしょうする。にがりわらう。
※平家(13C前)三「うへには事なき様なれ共、下には用心して、にがわらひてのみぞありける」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報