苛苛・刺刺(読み)いらいら

精選版 日本国語大辞典 「苛苛・刺刺」の意味・読み・例文・類語

いら‐いら【苛苛・刺刺】

[1] 〘副〙 (「いら」は、もと「とげ」の意。「と」や「する」を伴う場合が多い)
① とげなどがたくさん出ているさま。
※名語記(1275)五「えびはいらいらとして、つののありて、手をつけば、出針ノ反也」
皮膚粘膜に、ちくちくと繰り返し突かれるような小さい刺激やひりひりとしみるような刺激を感じるさま。
※言塵集(1406)六「香はよき酒に似て味はさしてなかりし也。舌にいらいらとおぼえし計也」
草枕(1906)〈夏目漱石〉一一「刺(とげ)に手を触れて見ると、いらいらと指をさす」
③ 光や暑気などが強く人を刺激するさま。
※俳諧・古今俳諧明題集(1763)秋「いらいらと残る暑さや蓼の花〈百川〉」
※それから(1909)〈夏目漱石〉一七「外は猛烈な光で一面にいらいらし始めた」
④ あせって心に余裕のないさま。また、思うようにならなくて、感情がたかぶってくるさま。じりじりするさま。
四河入海(17C前)二一「酒を飲て、いらいらとは不酔、ゆるゆるとして有歓」
雪国(1935‐47)〈川端康成〉「夜行動物が朝を恐れて、いらいら歩き廻るやうな落ちつきのなさだった」
[2] 〘名〙 思うようにいかず、あせって感情が高ぶること。
女生徒(1939)〈太宰治〉「このごろの、私のいらいらは、ずゐぶんお母さんと関係がある」

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