花園庄（読み）はなぞののしよう

日本歴史地名大系

花園庄
はなぞののしよう

• 和歌山県：伊都郡
• 花園村
• 花園庄

有田川上流域の山間部にあり、現花園村をほぼその荘域とした。荘名について「続風土記」は「新村に八葉の樒房花（しきみ）あり、荘名是より起るといふ」とし、また当庄の開発について「此地、高野山座主済高の仕丁久曾丸といふもの、始めて開発す、済高、其地を執行峰宿に与ふ、峰宿寂する後、中院寺主仲応に伝ふ、天慶年中仲応大に土功を起し、更に山渓を開墾して遂に今の姿とはなれり」と記す。なお、この記載は「高野春秋」をほぼ踏襲したものである。

寛弘元年（一〇〇四）九月二五日の太政官符案（前田家本「高野寺縁起」所収）に「花薗」とみえ、当時、高野山金剛峯寺と中納言平惟仲との係争地の一つであった。また当地近辺は高野山と吉野金峯山との係争の地ともなっており、建保六年（一二一八）三月日の高野山所司愁状案（又続宝簡集）によれば高野山所司らは「抑春賢(吉野山執行)掛示札、恣所打入及四五里、是当山領花園之内大滝、久恵俟、阿左宇俟、合三郷也、（中略）当時吉野所令虜掠之中津川、同花園之内也、（中略）然間、件中津川郷、為吉野法師被押領畢、以此中津川之例、今又擬打取大滝等郷者也」と主張。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」