色中心(読み)イロチュウシン

デジタル大辞泉 「色中心」の意味・読み・例文・類語

いろ‐ちゅうしん【色中心】

透明な物質中に生じた格子欠陥イオン結晶ガラスなどの非晶質中に局所的な電位が生まれ、特定波長の光を吸収して着色して見えることに由来する。着色中心

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化学辞典 第2版 「色中心」の解説

色中心
イロチュウシン
color center

着色中心ともいう.透明なハロゲン化アルカリの結晶室温で放射線を照射すると美しく着色する.NaClではこはく色,KClでは赤色,KBrでは青色である.この着色を示すもととなる中心を色中心という.結晶をアルカリ金属とともに加熱したり,先のとがった陰極を用いて電解電流を流して急冷しても同じ色がつく.これらの方法を付加着色,電解着色という.色中心には,電子が格子欠陥にとらえられたF型(または電子)中心(F中心)と,正孔がとらえられたV型(または正孔)中心(V中心)とがある.前者に属するものには,F,M,R,N中心などがあり,いずれも可視域に吸収帯をもつ.他方,V型には VK,H,V1~V4 中心などがあり,主として紫外域に吸収帯をもつ.放射線による着色ではF型とV型中心が同時につくられるが,光あるいは熱によって電子と正孔の再結合([別用語参照]再結合中心)が起こるため容易に退色する.一方,付加着色の場合にはF型中心のみができるので着色は安定であるが,光または熱によって中心間に相互変換が起こる.たとえば,NaClの場合,加熱によって赤,青色へと変化する.天然に産出する青い岩塩はこうした原因による.M,R,N中心は,F中心が2個,3個,4個集まったもので,F-aggregated centersともよばれる.二価金属のハロゲン化物酸化物結晶においても同様の着色現象が起こる.

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改訂新版 世界大百科事典 「色中心」の意味・わかりやすい解説

色中心 (いろちゅうしん)

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世界大百科事典(旧版)内の色中心の言及

【着色中心】より

…色中心ともいう。電子をもつ点状の格子欠陥,またはその集合体をいう。…

※「色中心」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」