船岡城(読み)ふなおかじょう

日本の城がわかる事典 「船岡城」の解説

ふなおかじょう【船岡城】

宮城県柴田郡柴田町の船岡館山(四保(しのほ)山)にあった鎌倉時代から江戸時代にかけての山城(やまじろ)で、江戸時代には仙台藩21要害の一つとされた。歌舞伎『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』、『伊達競阿国戯場(だてくらべおくにかぶき)』、山本周五郎小説『樅の木は残った』の主人公として登場する原田甲斐(かい)宗輔(むねすけ)の居城である。1200年ごろ、この地には芝田次郎の居城があったとされるが、天文年間(1532~54)に四保定朝が築城したとされる。16世紀初めには、伊達家家臣の柴田定朝の居城となり、その後、城主は屋代景頼(かげより)、伊達家家老の原田宗資(むねすけ)と変わったが、1671年(寛文11)の伊達騒動(寛文事件)で原田家が断絶したため、再び柴田氏5000石の居城となって明治維新を迎えた。ちなみに、原田甲斐宗輔は、宗資の息子である。この城は1868年(明治1)からは明治政府から国替えを命じられた南部家白石藩に属したが、翌69年に建物が焼失し廃城となった。城跡は現在、船岡城址公園として整備され、かつて本丸のあった山頂にはスロープカーを使って登ることができる。城下を流れる白石川堤防沿いの桜並木が有名だが、山上からの眺めは「一目千本桜」と形容されている。また、三の丸近くには山本周五郎の小説の表題にもなった「樅の木」があり、二の丸には宗輔(原田甲斐)の供養塔が建てられている。船岡館山登山口へは、JR東北本線船岡駅から徒歩約10分。◇船岡要害、柴田(芝田)城、四保(しのほ)城、四保館とも呼ばれる。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android