家庭医学館 「臍ヘルニア(出べそ)」の解説
さいへるにあでべそ【臍ヘルニア(出べそ) Umbilical Hernia】
臍(へそ)の緒(お)が乾燥してとれた後、臍の根元が十分に閉鎖(へいさ)されていない場合、泣いたりいきんだりしたときに内臓が皮下まで脱出して臍がふくらんだ状態になるものです。小腸(しょうちょう)や大網(たいもう)(胃の周囲の脂肪組織)が脱出していることが多いのですが、指で押すと容易に腹腔(ふくくう)に戻せます。鼠径(そけい)ヘルニアのように嵌頓(かんとん)をおこすことはほとんどありません。
[検査と診断]
飛び出た臍を指で押し戻すと、皮膚のすぐ下の腹壁(ふくへき)に小指ないし人差し指が通るくらいの欠損部(けっそんぶ)(孔(あな))があります。臍の出っ張り具合よりも、この孔の大きさが自然治癒(しぜんちゆ)と関係しています。
[治療]
90%くらいは1歳までに腹壁の孔がしだいに縮まって自然に治ります。放置しておいてもかまいません。
腹壁の孔(ヘルニア門)が2cm以上と大きい場合や、2歳以後の臍ヘルニアは自然治癒が期待できず、手術(図「臍ヘルニアの手術」の手術後)が必要になります。手術の傷は臍のしわに合わせるので、目立ちません。
[日常生活の注意]
よく十円玉を臍に当てて絆創膏(ばんそうこう)で圧迫する人がいますが、自然に治る場合の治り方に差が出るわけではありませんし、皮膚かぶれをおこしかねませんから、やめたほうがよいでしょう。