職業実践専門課程(読み)しょくぎょうじっせんせんもんかてい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「職業実践専門課程」の意味・わかりやすい解説

職業実践専門課程
しょくぎょうじっせんせんもんかてい

専修学校のうち、専門課程を設置した学校(専門学校)で行われる学科の一つ。職業に必要な実践的で専門的な能力を育成するため、専修学校が企業や関係機関などと連携し、最新の実務の知識・技術・技能を教授することを目的とした教育課程である。2014年度(平成26)から開始された。修業年限は2年以上、全課程の総授業時間数は1700時間または62単位以上と規定。従来の専門課程と異なるのは、専門学校が企業や業界団体などとの連携体制を確保したうえで、共同の教育課程編成委員会を組織し、授業科目や教育課程などの編成を決定する点である。企業による実習演習なども教育計画の一部として盛り込まれており、教育課程編成委員会を通じてカリキュラムが定期的に見直される。文部科学省による実習例には、商業実務分野における接客や販売実習、文化・教養分野でホテル実習、工業分野の電気工事実務やIT・ゲーム作品制作実習などがみられる。また、教員の質的向上を組織的に実施するため、企業と連携して実務に関する研修を行う一方、学校や企業には情報公開が求められている。具体的には、教育内容や生徒定員のほかに、生徒実数、専任教員数、中退者数、中退理由などの情報をホームページで公開する必要がある。

 職業実践専門課程の創設は、これまでの高等教育機関で軽視される傾向のあった職業に関する教育を重視するもので、2011年に文部科学省の中央教育審議会が行ったキャリア教育、職業教育に関する答申では、新たな学校種の制度を創設するという方策が盛り込まれた。これには大学関係者をはじめとして反対意見が多かったため、2013年の「専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議報告」で、先導的試行として専門学校に職業実践専門課程の新しい枠組みを設置することが決まった。2014年(平成26)8月末時点で470校1365学科が認定され、教育分野は工業、農業、医療、美容、教育・社会福祉、商業実務、服飾家政などと多岐に及んでいる。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例