聞紛(読み)きこえまぎらわす

精選版 日本国語大辞典 「聞紛」の意味・読み・例文・類語

きこえ‐まぎらわ・す ‥まぎらはす【聞紛】

〘他サ四〙 (「いいまぎらわす(言紛)」の謙譲語) 相手の聞きたいことや、こちらの申しあげたいことを、わざとぼかしたり、他の話題にかえたりして申しあげる。何でもないことのように申しあげる。また、いろいろと申し上げて相手や自分の気持ちを紛らすようにする。聞こえ紛らかす。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「よろづにのたまひまぎらはして、すずろなるべければ、きこえまぎらはしつつなむ」
源氏(1001‐14頃)若菜下「涙ぐみ給へる気色を、いとあはれと見たてまつり給て、よろづにきこえまぎらはし給ふ」

きき‐まがわ・す ‥まがはす【聞紛】

〘他サ四〙 異なるものの音が入りまじって、聞き違えさせる。
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年秋「やうやう涼しき風のけはひに、例の絶えせぬ水のおとなむ、夜もすがらききまがはさる」

きき‐まが・う ‥まがふ【聞紛】

〘他ハ四〙 聞きまちがえる。まちがって聞く。
曾我物語(南北朝頃)四「男になりたるといふを、法師になりたるとききまがひ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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