羽倉山城跡(読み)わくらやまじようあと

日本歴史地名大系 「羽倉山城跡」の解説

羽倉山城跡
わくらやまじようあと

[現在地名]松江市朝酌町

中海・宍道湖・出雲平野を望む標高二六二・一メートルの和久羅わくら山の山上に築かれた戦国期の山城。和久羅山城とも記す。一の段・二の段・三の段とよばれる削平地が連なり、山腹には馬場跡と思われる場所が残存している。羽倉山城は中海・宍道湖の水運を統轄するうえで従来から重要な役割を果したと考えられるが、戦国期後半の尼子・毛利合戦に際して軍事的にもきわめて重要な位置を占めることとなった。永禄五年(一五六二)一二月と推定される毛利元就書状(閥閲録、以下すべて同書)に「爰元陣取之趣は、あらはひ崎え可陣取候、是は白鹿へは程遠、水うみのきわにて候、さ候間わくら山を同日取候而一城相構、富田と嶋禰之間を取切候はては不叶事にて候」「先あらはひ崎と、わくら山を取候て、其上にて白鹿表之趣、みなみな能々見及候て可申談との儀辻まてにて候」とあるのは、当城の築城および荒隈あらわい城と敵城白鹿しらが城との位置関係を考慮していたことを示している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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