義勢・儀勢・議勢・擬勢(読み)ぎせい

精選版 日本国語大辞典 「義勢・儀勢・議勢・擬勢」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐せい【義勢・儀勢・議勢・擬勢】

〘名〙
① (━する) 相手に対して示す威勢。意気込み。また、動物が敵に出合った時にする、相手をおどすような姿態。鮮やかな体色に変わったり、体をふくらませたりする。
吾妻鏡‐建暦三年(1213)五月二日「留守壮士等有義勢
※大菩薩峠(1913‐41)〈中里介山〉甲源一刀流の巻「猿は怖れをなして、尚ほ高い所から、しきりに擬勢(ギセイ)を示すのを」
② (━する) 自分には相応の力や才能があると信じ込み、そう見えるように振舞うこと。
※京大本論語抄(16C前)公冶長第五「子貢も影では義勢をいへとも聖人の明鏡の如な前では己が分際をば蔵されぬ」
③ 正しいと信じて主張する考え、意見、見解
太平記(14C後)一九「戦ふべきかと、延々としたる評定のみ有て、誠に冷(すず)しく聞へたる義勢は、更になかりけり」
注釈で、特に詳しい説明を付け加えること。
※土井本周易抄(1477)五「亦の字、正義にぎせいをしたぞ」
⑤ (━する) 見せかけだけの勢力、また、必要以上の元気を現わすこと。虚勢
※歌舞伎・菊宴月白浪(1821)初段「『こりゃあんまりな悪口雑言』ト次郎左衛門の側へツカツカと来て、擬勢(ギセイ)する」
江戸時代、客が遊女に対して、権柄がましくふるまうこと。遊女の側からいう。
随筆・異本洞房語園(1720)上「遊女の言葉に、客人の権柄が間敷打見えて、傾城に対し舞へ歌へといひて、其一座いかつに見ゆる人を、いかいぎせいじゃといふ。今以て勢ひの有る人を義勢といへど、傾城共がいふギセイは底意はそしり笑ふ言葉にして、所謂ある事なりと」

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