置銭(読み)おきせん

精選版 日本国語大辞典 「置銭」の意味・読み・例文・類語

おき‐せん【置銭】

〘名〙
① 請負銭。契約料。地子銭。関銭。
※東大寺続要録(1281‐1300頃)「右置銭料可下行之状如件」
② 旅宿などを出発するとき、茶代としておく銭。おきぜに。
※俳諧・已己巳己(1668か)一「旅馴つつも宿にをき銭〈嶺利〉 おさなきに土産や兼て思ふらん〈肖哉〉」
③ (もと上方の花街でなじみの男の意であったものが次第に一般に広がり、男女どちらにもいった文化・文政(一八〇四‐三〇)頃の流行語) 情人。愛人。恋人。また、ひそかにそのような関係を結ぶこと。
随筆羇旅漫録(1802)下「女のかたより情をよせて男をひくを、おき銭(セン)といふ」
※洒落本・箱まくら(1822)下「置銭(オキセン)とは、こって通ふときは、銭もたくさんにをかねばならぬゆゑ、なじみをおきせんといふ也」
④ 銭を賭ける子供の遊戯の用語。
※随筆・皇都午睡(1850)初「置銭は幼童の遊戯に六度穴打などに銭をもって銭を打時、我はうたずと銭を置き、人に打せて勝敗を論ずるの詞也」
[補注]③の語源としては、挙例「箱まくら」のような解が穏当なものとして受け入れられているが、「皇都午睡‐初」では「沖に漂船のごとく恋の心の切なるをかけて沖船ならんとも云り」と述べている。

おき‐ぜに【置銭】

〘名〙 =おきせん(置銭)②〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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